朝起きて、とりあえず一周歩く。
コーヒーとサンドイッチ。
朝練。
店周りの除草、剪定。
蚊に刺された。
キンカンを探す。
「あったよなー……」と、
今まで人生でキンカンを探すのに費やした時間を全部集めたら、たぶんちょっとした資格がひとつ取れていた。それくらいの時間を、あの茶色い瓶のために捧げてきた気がする。
しかも僕だけではないはずだ。今この瞬間も、日本中のどこかの家で、誰かしらが同じ顔をして引き出しを開けている。その全員分の一生分の「あったよな……」を足し合わせたら、一体どのくらいの時間になるのだろう。下手をすると、キンカンを探す時間だけで小さな町がひとつ、静かに一生を終えている。
なぜキンカンの置き場所は定まらないのだろう、とふと考える。薬箱に入る身分でもない。チューブ式の軟膏のように小さな引き出しにまとめてざっと入れておくような気安さもない。あの微妙な大きさの瓶は、家の中の「どこにも属さない物」専用のエリアを、てきとうに漂っているしかない。
昔は仏壇の脇に置いてあったり、食器棚の上にちょこんと乗っていた。今は仏壇も食器棚もない。それでも誰かが使って、どこかにポンと置く、そしてどこかの引き出しに紛れる。出番は夏の終わりの短い期間だけで、あとはずっと家のどこかで冬眠している。
だからいつも、あったよなー。どこかで見たよな、、確かに……。 という存在になるのだが、その「確かに」に確証はなにもない。ただの朧げな幻影だけを頼りに、家の中の引き出しを全て開けることになる。
今日は散々探した挙句、結構目立つ場所にポコンと置いてあった。誰かが使ったのだろう。
そういうパターンもある。知恵袋にストック。

随分昔に買ったまま全然開いていなかったBill Frisellの楽譜を最近、パラパラとめくってランダムに弾いてみている。
昔は楽譜を読んでも、ギターの指板でどう弾いてるのか謎だったが今はだいぶ読解できるようになった。
コードネームと音符から聴き覚えのあるハーモニーやメロディーが立ち上がってくる。
考えながらゆっくり弾いているだけでもかなり勉強になるうえ、楽しい。

今日は忙しかった。
デザインがとても可愛いオランダ土産のチョコレートをいただいた。